エリック・クラプトン(12/6)

先週のU2に続き昨日はエリック・クラプトンを武道館で見てきました。


今回のお目当ては何といってもウィリー・ウィークス&スティーヴ・ジョーダンのリズム隊。僕の席は1階スタンド南西、ステージの斜め正面でした。ステージの半分以上は双眼鏡でウィリー&ジョーダンを見ていました。クラプトンを見るのは4〜5回目なのでもうほっておいても良いのです。
生ウィリーを見るのは2回目でした。忘れかけていたのですがドゥービー・ブラザーズ解散直後にマイケル・マクドナルドがソロとして初来日して、代々木オリンピックプールでジョー・ウォルシュとボズ・スギャッグスとのジョイントライヴをやった事がありました。あの時は確かウィリーでした。
ウィリーといばダニー・ハサウェイやジョー・ウォルシュとのライヴが有名ですが、僕にとっては一連のニール・ラーセンとのセッション、特に「ラーセン・フェイトンバンド」での演奏がとても印象に残っています。
「黒人のバネの効いたグルーヴ感を持ちつつアバウトでない」演奏は僕の最大の目標でありました。ドゥービー時代は映像がかなり出ていて本当に良く見ました。
体全体に全く無駄な力の入っていない演奏スタイルで、いかなるフレーズを弾いてもリズムを取っている体の動きが乱れる事はありませんでした。ウィリーを見ているといつも思うのですが、彼は決してよどむ事のないグルーヴ感というエンジンを体内に持っているのですね。きっと。指先はそれに従って動いているだけなのです。


そのウィリーがいきなり2曲目(3曲目だったかも)でスティーヴの極上の16Beatにのってベースソロ。曲はデレク&ドミノスのライヴ盤に入っている「Got to get better in a little while」。双眼鏡のレンズに目の玉ひっつけて見ました。
いやーもう。渋い。カッコ良い。なんというグルーヴ感だ!リズムを取る体の動きにまったく乱れなく、ハイポジションまでいっても決してフレットを確認する事もありません。ベースの全てのポジションで、どういった音が鳴るのか指と手のひらが完璧に憶えているといった感じでした。ハイポジションから下ってくるフレーズを弾きながら顔でクラプトンに合図を送り、ソロを締めくくったところが昨夜の個人的な興奮度のピークでありました。その興奮度はU2のオープニング時に匹敵しました。


相方スティーヴ・ジョーダンのドラムがまたグルーヴの塊。なにより叩いている姿がカッコ良い。全体に低めのセットでタムとかも上からブッ叩くという感じです。曲によってスネアを何個も取り替えていました。それから何と右手だけで叩きながら左手でスネアのチューニングをするという光景も目撃してしまいました。我が相棒、田中徹も「ジョーダンが一番好きだ!」と先日吼えておりましたが、ちゃんと見にいったかなぁ?「あたりまえでんがな」と怒られそうです。


さてライヴの中身にやっと入っていきますが、ここしばらくのライヴから比べると全体の演奏がかなり泥臭い感じになっていました。デレク・トラックスとドイル・ブラムホールUを加えてのトリプルギター。やはりデレク&ドミノス時代や「461〜」の雰囲気を随所に感じました。「マザーレス・チルドレン」、はまりまくってました。
特に「レイラ」に関しては今までみたクラプトンのコンサートの中で一番スタジオテイクに近い雰囲気を持っていました。カール・ラドル&ジム・ゴードンのグルーヴにしびれた身としては、ネーザン・イースト&スティーヴ・フェローンの組み合わせもイマイチでしたし、ネーザン・イースト&スティーヴ・ガッドの組み合わせも何か違うなぁという感じでした(言いたい放題ですな)。あぁ、またグルーヴの話になっている。


そうそう、デレク・トラックスも只者ではありませんでした。25%くらいはデレク・トラックスを見ていました。いや久し振りにアメリカ産「ギター小僧」という感じの人を見ました。パット・メセニーが初来日して見た時以来かなぁ。とんでもない上手さの上に金髪で顔も可愛いから女の子にもてるんだろなぁ、なんて要らない想像までしてしまいました。


しかしドイル・ブラムホールUやデレク・トラックスの驚異的な上手さ、カッコ良さをもってしても、エリック叔父さんの「カイーン」というチョーキング一発や「カイララカイララカイララ」という18番フレーズの前では「まぁ善戦してはいるわな」という感じを受けてしまいます。
これがエリック叔父さんのたちの悪さです。かつての盟友スティーヴ・ウインウッドがクラプトンに初めて会った頃の事をインタビューでこのように話していました。
「彼を初めて見た瞬間から、これは間違いなく、決定的にただものではないと思ったね。当時も、それ以後も、他の誰にもまねのできない、彼独自の見せ方のあざやかさと芸術的効果、それにエネルギーがあった」。


「見せ方のあざやかさと芸術的効果」。確かにありました。


MCも殆ど無く、アンコールも「クロスロード」1曲のみ。誰にも真似の出来ない極上の「音楽会」でありました。