ZOO(2/28)

DVDで再発売されたU2の93年のライヴ「ZOO」を今更ながら買ってしまいました。


このライヴはオーストラリアのシドニーでのライヴですが、この後すぐに来日して東京ドームでもライヴを行っています。U2ファンと言っておきながら、実はこのライヴは見ていないのです。
というのも、この時期は少しU2に興味を失っていました。この時期まで僕が感じていたU2の魅力は、荒削りだったサウンドにブライアン・イーノとダニエル・ラノアが加わる事によって、奥行き感や陰影が生まれた「焔」から「Joshua Tree」のサウンドでした。
映画「魂の叫び」も見ましたし、BBキングを伴って来日したライヴも勿論見に行きました。


しかし91年秋にリリースされた「Achtung Baby」に上手く馴染めませんでした。今聴くと凄くカッコ良いのですが1曲目の「ZOO station」を聴いたた時に「一体どうしてしまったのだろ???」と思った記憶があります。1年9ヶ月という短期間でリリースされた「ZOOROPA」にも同様に入り込めませんでした。
思うにこの時期は、一旦完成したサウンドや「生真面目さ」や「ストイック」といったバンドのイメージを突き放そうとしていたのではないかと思います。おそらく僕はそれに上手く感応する事ができなかったのだと思います。
あのピーター・ガブリエルをして「映像を使ったステージを考えていたが、U2にやられてしまったので方向を変えた」と言わしめたこのライヴは今見ても驚きです。映像を駆使し物量作戦の極みを尽くしたステージセットでボノが演じるのは陳腐なロックスターであり、ロックスターの醜悪な末路と説明されているマクフィストです。
この時期ボノはこんな事を言っています。「過去のU2はラスベガス的な煌びやかさを避けようとしていた。今の僕らはそのような安っぽさを両手で包み込み、大きなキスを浴びせている。いわば敵と一緒に生きているようなものだ。でも、それが本当の旅というものだ」。
「ZOO」を見ると、その「敵」であったり「避けて通ろうとしていたもの」さえも自分の胃袋の中に入れて消化してしまおう、という強烈なエネルギーを感じます。


もう一度U2の魅力に入り込んだのは、そういった試行錯誤の末到達したアルバム「POP」を引っさげておこなった「Pop Mart Tour」東京ドーム公演です。テクノロジーを駆使しつつも、それを超えるスピリットを感じさせるステージは圧巻でした。
そして過剰な装飾を取りはなってシンプルな形に回帰した「All that you can`t leave behind」「How to dismantle an Atomic Bomb」と続くわけですが、そこには「Joshua Tree」の頃とは比べ物にならないくらい骨太にになったU2がありました。
しかしそこに辿り着くための出発点はこの「ZOO」にあったのではないかと今頃になってやっと気が付きました。