箱根で思うこと(8/22)

一昨日の昼間、突然カミさんから電話がかかってきた。仕事中の昼間に電話がかかってくる事はまずない。何か緊急の悪い知らせかと思いきや、「明日休み取ったから」との事だった。そういえば何日前かに「どっかで一日休みとれるから箱根に行って、温泉入ろう」とか言ってたっけ。
こうなってしまうと、事態は既に決定事項であり口を挟む余地はない。明日は箱根・・・と。


8月21日(火)
何をするのかは電車に乗ってから決めようという事で、相模大野を9:30に出るロマンスカーに飛び乗り、一路箱根を目指しました。小田原記念競輪の決勝という事も一応視野に入れつつも、カミさんはトレッキングを希望している様子。じゃ、楽そうな箱根旧街道はどうか?と提案すると、「うにゃ」と言いつつ提案してきたのが、「塔の峰ハイキング」。
「塔の峰」とはガイドブックによると・・・・。「金時山から明神岳、明星岳と続く箱根外輪山が相模平野に消える手前に頭をもたげているのが塔の峰(標高586m)です」。全行程2時間35分とあります。下山口には温泉施設「ひめしゃらの湯」があります・・・と。
サンダル履きなのに大丈夫なのかえ?と聞くと「だってスポーツサンダルでしょ。大丈夫よ」。こうなってしまうと、事態は既に決定事項であり、口を挟む余地はない。登山口の箱根登山鉄道、風祭駅からの標高差はおよそ500m以上。結構キツイと思うけどなぁ・・・・。


小田原で弁当とお茶、ミネラルウォーターを買い込み、出発地点の風祭駅を出たのが11:30。ここから箱根外輪山の尾根に出るまで約1時間は、蛇行する舗装された林道を喘ぎながら登っていきます。アスファルトからの照り返しは相当なもの。しばらく振りの正真正銘な「汗だく」状態。良くもこれだけの、と思える玉のような汗が滴り落ちます。
奮闘1時間、ガイドブックでは林道終点地点と書かれていた地点まで到達しました。何と嬉しい事に、ここには山からの湧き水が引いてありました。この水の冷たさと言ったら、それはもう・・・・言葉ではあらわせません。こんなに冷たい水を枯らす事なく懐に貯めている山の素晴らしさに感動。ここで昼食。
頭から浴びてしまいました 私の鳥そぼろ弁当 カミさんの五目弁当
地元らしき人が、茗荷を沢山採っていました。山の中に沢山自生しているそうです。一つ貰って食べてみれば良かった。酢漬けにしても美味しいんですよね。
昼食後出発。いよいよ山道に入ります。ここから塔の峰まではおよそ45分。林間の土道に入ると、照り返しが減ってぐっと楽にはなります。この林は植林地らしく、ほのかに檜の香りが漂っています。気持ちの穏やかになる香りです。しかし傾斜はきつくなり汗だくなのは変わりません。それでも林の切れた場所に出ると、爽やかな風が吹き込んできて思わず「ウヒョー」と声が出てしまうくらい気持が良かったです。ほぼコースタイム通りに塔の峰に到着。やはりハイキングコースであれ、自分の足で目的地のピークに達した喜びはひとしお。久し振りに味わいました。
塔の峰山頂 一等三角点
さて問題はここから。この586mに到達するまでの距離のおよそ五分の一程度で阿弥陀寺まで下ります。阿弥陀寺が出発地点の風祭駅よりも標高が高いとは言え、かなりの傾斜で下る事は間違いありません。
やはり予想通りかなりの傾斜でした。木の根や石に足を引っ掛けないように下っていきます。30分で阿弥陀寺に到着。ここの境内にまたも素晴らしい湧き水が引いてあり、感動のあまりに「日本に生まれて良かった!」と声が出てしまいました。
この阿弥陀寺はアジサイの隠れた名所でもあるようです。水場の横にもアジサイが寄り添っていました。
阿弥陀寺 水は日本の資源の宝です。
かなり前から、山登りやトレッキングをすると右足の膝の裏側の筋に痛みが出る事が有り、場合によっては歩くのが困難になるくらいの事もありました。なので最近は本当に楽な散歩くらいの事しか怖くて出来ずに、すっかり山から遠のいてしまったという訳です。やはりもう一度という事で、去年の冬からマンションの10階まで階段で上り下りする事を始めました。約9ヶ月、続けた甲斐はあったようです。これだけの急坂を下ってきても痛みは出ませんでした。40半ばになっても、気を遣ってあげれば肉体は持ち直すのですね。階段上り下りを続けて来年はもう少し長い距離にも挑戦したいものです。
阿弥陀寺の境内にて
これは重要です!真剣にお参り
調子にのって転んですりむきました
本来長袖を着るのが基本です
阿弥陀寺から更に15分下ると、箱根ベコニア園に隣接した日帰り入浴施設「ひめしゃらの湯」に到着。もう何も言う事なしです。甘露、甘露。
林間の露天風呂



箱根湯元でお土産屋を巡り、登山電車で小田原に下りました。小田原に来た時は夕食は必ず「うおがし」さんに行きます。もうこのお店に来るようになって15年近くになります。きっかけは冒頭でも書いた小田原競輪でした。そうそう、残念ながら今回は小田原競輪には立ち寄れませんでした。決勝本命サイドで決まったようです。おそらく現場に行ったら、地元ラインを買ってしまって車券はパーになったでしょうね。
もとい!お寿司も勿論食べられますが、うなぎやてんぷら等もあるお料理屋さん。板わさ、焼き鳥、キスのてんぷらと王道を進み決め技は「あじの生ずし」。間違いなく絶品です。昨夜はカウンターだったので、板前さんとお話ができました。うおがしは戦前からある歴史の古いお店で、現在は三代目だそうです。場所も15年前に初めて行った時は、現在のお店の少し先に在りました。
最後に巻物とお椀を頂いて店を出る時に、以前来た時にいつも元気良く働いていた上品なお婆ちゃんの姿が見えなかったので尋ねたところ、今年の初めに90歳で亡くなったそうです。推測ですがおそらく二代目の奥様なのではないでしょうか。時間は流れていくものですね。
何を頼んでも美味しいお店です。皆さんも小田原にお出かけの際は是非立ち寄って見てください。駅から歩いて2〜3分。満足できる事保証します。
小田原を19:30のロマンスカーに乗って帰路に着きました。小田原を出ると駅と駅の間には多くの闇が横たわっていました。久し振りに山を味わった自分には、その闇が心地よく感じられました。本来あるべき姿・・・。そんな言葉が浮かんできました。
うおがしのテレビの中のニュースでも、電力消費がこの夏最大になったと報じていました。消費を重ね、街をアスファルトで固め、地下水を枯渇させ、クーラーで更に気温を上げ、夜になっても煌々と照らしている事が本当に必要な事なのだろうか?闇を見ながらそんな風に思えたのです。
勿論自分もそういったものの恩恵を受けている事は間違いないのですが、私たちの住むこの場所には、山から湧き出る美しい水が有り、季節を彩る木々が有り、その木々を揺らすそよ風や木漏れ日があるのです。世界の中には水が殆ど出ない地域や、植生が育たない地域だって沢山ある事を思えば、もっと日本の持つ本当の財産にも目を向けても良いのではないでしょうか。
本厚木を過ぎると、駅と駅の間の闇もなくなってきます。相模大野で降りると、そこは蛍光灯で照らされた、まさに日常とも言える景色が広がっていました。
昔良く一人で山に登っていた頃、帰ってくると「戻ってきてしまったなぁ」と思う事が良く有りました。そんな気持ちを久々に味わいました。
帰宅後にカミさんが「思ったよりキツかった。足が痛い」と言っていました。だからキツいと言ったのに。