I respect you (5/20)

アルバイトの帰り道で柴犬を散歩させている人を見かけた。近づいていくとその柴犬はエリザベスカラーをしていた。エリザベスカラーというのは犬や猫が手術などをした時に、自分で傷口を舐めたり出来ないようにする為に首に巻くプラスチック製のカラーの事です。
「こんにちは」「どうも」「どっか手術をなさったのですか?」「いいえ手術できないくらい衰弱しちゃっているんです。栄養も鼻から入れたチューブからやっているんです」。
もう一回よくその柴犬を見ると確かに鼻から細いチューブが入れられていた。そうかそのチューブを自分の口を使って外したり出来ないようにカラーを巻いていたのか。そして体全体を見直すとかなりやせ細っていた。その体型は実家にいる18歳にもなる老猫に近いものだったし、足取りも不確かで重たく一歩歩いては立ち止まりしばらくしてからまた一歩、という感じだった。
「かなりお年よりなんですね」「いいえまだ6歳なんです」
言葉を失った。犬の6歳といばバリバリの若者ではないにしろまだまだ元気一杯に走り周ったりできる年齢だ。大病をしたのが直りきらないのか、何らかの先天性の病気があるのか。
「お大事に」「ありがとう」。
しばらく歩いて振り返るとその若い男の子は動かなくなってしまった柴犬を抱き上げ歩き始めた。それは何か胸をしめつけられるような、それでいて感動的な光景だった。帰る方向が同じらしく立ち止まった僕の前を彼らは歩いていった。抱きかかえられた柴犬と目が合った。夢見るような瞳をしていた。
青少年の間で動物だけでなく人にたいしても残酷な仕打ちをしてしまう事件が多く伝えられる中で、、決して簡単とはいえない動物の看護を若い男の子がやっている事に拍手を送ってあげたくなり、何故か少し目頭が熱くなった。