「ミリオンダラー・ベイビー」

1日という事で今年のアカデミー賞で4部門を獲得した話題作を見てきました。


マギー(ヒラリー・スワンク)はボクサーを夢見てフランキー(クリント・イーストウッド)の営むボクシングジムに入門します。初めは拒んでいたフランキーもマギーの情熱に打たれて熱心に指導するようになります。そのジムではかつてフランキーと組んでいたボクサーのスクラップ(モーガン・フリーマン)も雑用係として働いています。三人で力を合わせてマギーは一歩一歩着実に階段を上っていきます。そして世界タイトルに挑戦する事になるのですが・・・。


実にしんみりと考えさせられる映画でした。僕も40歳を超えて数年たち今までになかった「生きる」という事の意味を考えたり問い直す事が多くなりました。そんな自分の状況にぴったりと符号した話であった事は間違いありません。ただ見終わった後でも何か結論めいたものが導き出せたかといえば「生きるという事は夢があると同時にすごく辛いことでもあり・・・」程度のものでしかないのですが。
一体自分の人生とは何だったのだろうか?人生の晩年を迎えた時に必ず突き当たるテーマなのだと思います。このコラムや「私的なコラム」でもよく触れる事なのですが、人というのは時間を掛けて色々なものを失っていくのではないかと思うのです。それを取り戻そうとするプロセスがこの映画の前半から中盤であり、それでも取り返せないものが後半だと思います。両者を凄くクールに公平に描いているところが見ててちょっとしんどいところでした。


クリント・イーストウッドという人は俳優としてはやはり「ダーティ・ハリー」のイメージが強く、アクション的といいうか個性剥き出しという感があるのですが、監督としては「ミステティック・リバー」も含めすごく押さえた感じのトーンを感じます。その対比もまた面白いなと今この文を書きながら思っています。