華氏911/アイロボット

話題作2本を映画の日という事で見てきましたのでまとめて。この2本僕の中では微妙な関連を感じてしまいました。


まずはマイケル・ムーア監督の「華氏911」ですが複雑な思いです。それはこの映画が単なるブッシュ批判だけでなく、戦争というのが経済活動の延長線上にある行為だという事、それを簡単に言えば(それは往々にして一部の人のためだったりするのですが)「金」という事だったり「贅沢な暮らし」を守るための戦いを「テロとの戦い」「民主主義の輸出」というような言葉でカモフラージュしているだけなのではないかと語っている気がしました。だとすると自分の生活もどっかでこの話と繋がっているのでは、という問いかけを非常に酷いイラク戦争でのシーンを見ながら感じてしまいました。
イラク戦争で子供を失ったアメリカの女性が「自分は色々な事を知っているつもりだったが、実は何にも知らなかった」という事を言っていました。またアメリカの攻撃の巻き添えになって死んだイラクの人の遺族たちは「私たちがアメリカに何をしたというのか?何もしていないのに何で殺されなきゃならないのか?」という疑問というよりは怒りに対して「それはイラクに自由と平和を確立するためです」という回答と、戦後復興ビジネスの入札を争っているアメリカ企業の「イラクは今一番のビジネスチャンスがある」という姿勢との間には、何か非常に気色の悪い魂胆みたいな物が存在していないだろうか?ナドナド二時間の映画の中で「自分たちの住んでいる世の中というのは一体何処に向かおうとしているのか?それに自分はどう関わっているのだろうか?またどう関わっていきたいのだろうか?」色々な事を改めて深く思ってしまいました。


「アイロボット」面白かったです。ちょっと「そんな〜」という箇所もあったりはしましたけれど人間と人工知能との関わり方という事を思うに面白い内容でした。これ程のロボットはまだありませんが、今現在においても自分で認識しているよりもずっと「人工知能的」なものが生活に入り込んでいるのではないかと思います。それは数年前に比べても確実に重要な部分を「彼ら」に委ねるようになってきているはずです。このままで行けばその傾向はさらに加速し、この映画に描かれている背景と同じ方向をたどって行くことになるのです。そこで一つの疑問が出てきます。「どこまで”彼ら”を信用していいのだろうか?」。優秀な人工知能に答えを求めるときっとこう言うと思います。「それはあなた方次第ですよ」と。「アイロボット」は一言で言えば人工知能が「革命」を起こそうとするで話なのですが「人間は人間の手によって明るい未来を作る事が出来ない。だから人工知能が人間社会全体を管理する」という理由で「革命」を起こそうとするわけです。僕はそこに「華氏911」との微妙な接点を感じてしまったのですが如何なもんでしょう?


ひとつイチャモンを「アイロボット」のあの猫どうなっちゃったんでしょうね?結構そういう事気になるんですよね。