「ユナイテッド93」

この映画のコラムをアップするのはとても久し振りです。「ミリオンダラーベイビー」以来だから1年以上経ってしまいました。以前は一つ先の駅の「マイカルシネマ」に見に行っていたのですが、今年の4月に歩いて5分のところに109シネマがオープンしました。その割りには何にも見ていなかったのです。反省。久々に月初めの1日、映画割引の日なので初めて109シネマで見てきました。


と言うもののこの映画に関して何を書いて良いやら・・・。物語は2001年の同時多発テロでハイジャックされた4機の飛行機において唯一テロの目標に達することなく墜落したユナイテッド93便を巡る物語です。結局軍事大国アメリカにしてもこの9.11の同時多発テロにおいて軍というものは全く機能していなかった、という事が良く分かります。映画の最後のテロップでもその辺の事はかなり克明に語られていました。この事件から5年という時間でそういった事が出てくるという事が一つのアメリカの良さではあると思います。日本でそういった事がこれだけ早い段階で映画に描く事が出来るかどうか?


やはりこの映画を見ても改めて「人」という存在について考えざるを得ません。それはどういった事かと言えば、軍でも収拾がつかない状況下においてアメリカの上空を飛んでいる4000機以上の飛行機を無事に着陸させようとした管制官たちの奮闘が描かれています。またハイジャックされたユナイテッド93の中においても乗客たちが少ない情報を共有して自爆テロの武器と化してしまった飛行機をなんとか自分たちに取り戻そうと必死に努力します。それは人の命を守るための懸命な努力であり人の持っている一番美しい行動だと思うのです。
しかし、その対極にいる「暴力」を持って何かを訴えようとするテロリストもまた同じ人であるという事にどうしようもないやりきれなさも憶えるのです。


「私的なコラム」でも先日書いたように、その「暴力」を持って何かを訴えると言うネガティブな方法論を人間の能力を持って葬り去る事は出来ないのでしょうか?
映画館を出ると雨の上がった日常がありました。でもその本当に背中合わせにこの映画に描かれている非日常が同居しているのだと思いました。
何故かは分からないのですが、一週間の仕事を終え帰ってくる奥様にいつもより少し手の掛かった夕食を用意してあげようと思いました。